<退院後の生活は?>

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退院後、徐々に日常生活が可能になり、力が段々とついてくるものと思います。積極的に散歩などから始め、体と相談しながら徐々に運動量をあげていきましょう。

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移植後は全身状態の改善とステロイドなどの効果により食欲がかなり増進し、著明な体重増加が起こります。特に女性で著明です。高脂血症、高コレステロール血症、糖尿病などが起こりやすいので注意してください。

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退院後はほぼ普通の食事が可能ですが、グレープフルーツ、生ものなどのように禁止された食物も多いので、図を参考に栄養士の食事指導にしたがってください(図10)。

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退院後もある程度の運動は体力の回復のためにもお勧めします。しかし肝不全の患者さんは低栄養などで非常に骨がもろくなっており骨折しやすいのが特徴です。また移植後もステロイドなどの副作用により非常に骨折しやすい状態にあります。ある研究によると骨塩量は移植後一過性に減少し、手術前の状態にもどるのに約1年かかると言われています。その後は栄養状態・肝機能の改善にともない骨塩量は増加していき正常に近づいていくものと思われます。したがって退院後でも骨折には注意が必要で、特に激しい運動をする場合は主治医に相談してください。

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基本的に普通の仕事が可能になりますが、移植後3ヶ月は重いものを持ち上げたり、激しい運動、重労働はさけてください。
小児では、学校や幼稚園に通うことが可能になります。ただ、流行性疾患(水ぼうそう、おたふくかぜ、はしか、インフルエンザなど)に注意が必要ですのでまわりで発症した人がでた場合や発症者と接触した場合などはすぐに主治医に連絡してください。

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レシピエントの妊娠・出産に関しては不可能ではありませんが、様々な薬剤を服用しているため高リスクです。予定のあるときには主治医にご相談ください。基本的に移植後1年は妊娠・出産は禁止していますので避妊をしてください。

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虫歯は移植前に治療することが基本ですが、肝機能不良のため治療が不可能なこともあります。移植後の虫歯治療は免疫抑制剤を内服しているため、敗血症などの感染症のリスクがあります。したがって治療前、治療後に抗生物質の点滴あるいは内服が必須になります。抜歯・神経根治療などの治療が必要な際は必ず主治医に相談してください。

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犬・猫・鳥などのペットにはトキソプラズマやクリプトコッカスなどの寄生虫がいることがあり移植後の免疫抑制状態の患者さんには重大な感染症をおこすことがあります。したがってペットの飼育は基本的に禁止しています。どうしても飼いたい場合は主治医にご相談ください。

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土壌中には細菌やカビなどが多く、ガーデニングや畑仕事などの土いじりは移植後早期は禁止しています。