【肝胆膵領域】概要について


当科では、これまでも肝胆膵領域の疾患について、診療および研究の両面で業績をあげており、今後も肝移植を含めた最先端の医療技術と治療成績の向上を目指します。

肝臓外科では悪性腫瘍(原発性および転移性肝癌)に対する治療を中心としています。肝癌の治療法としては内科的治療と外科的手術に大別されます。内科的治療には、体外から腫瘍に針を刺して治療するラジオ波焼灼術やマイクロ波凝固療法、また動脈あるいは静脈から抗癌剤を注入する化学療法などがあります。

徳島大学は、高度先進医療として最近注目されているラジオ波焼灼術の認定施設です。当科でも、肝機能が不良で手術が困難な症例や再発症例を中心に施行症例が増加しており、現在は手術や他の治療法と組み合わせるなどの工夫で治療成績の向上をはかっています。

動脈塞栓術は肝臓の動脈から薬剤を注入し、腫瘍内部に抗癌剤を詰めるとともに、腫瘍へ流入する血液を遮断する治療です。当院では年間150例以上の腹部血管造影を行っており、熟練した医師が症例に応じた適切な治療を行っています。また手技の応用として動脈瘤などによる腹腔内出血に対する緊急止血にも十分に対応することが可能です。

手術については、当科では年間100例超の肝切除術を行っており、肝細胞癌に対する有効で安全な治療法として確立されています。手術の成績は、高度に進行した症例や高齢者も含めた術後5年生存率が47%、また手術による死亡率は在院死を含めて約2%であり、全国平均と比較しても遜色はありません。

生体肝移植の成績(肝がん)生体肝移植の成績(全体)
現在は、開腹手術に比べて負担の少ない腹腔鏡下肝切除術の適応拡大や、術後再発の減少を目的としたインターフェロンと抗癌剤の投与について積極的に取り組んでいます。また、ガイドラインに準じ、各種分子標的薬も使用しています。
 
肝臓癌については平成16年から生体肝移植が保険適用となり、今後は治療の有力な選択肢の一つになると考えられます。当科ではすでに22例の生体肝移植を行っており、その5年生存率は86%と全国平均よりも良好な成績を収めています。

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