昨年より大講座制となり、大学内で関係各位の協力により臓器別再編が進んできました。この間の関係者、同門の皆さんのご理解ご協力に深く感謝しいたします。これまで私は皆さんに三本の矢の喩え(「一本の矢を折ろうとすれば、容易く折れてしまうが、三本の矢を束ねると折ろうとしても容易く折る事は出来ない。」)を申し上げてきました。なぜなら現在、我々徳島大学外科が直面している医療・医学界の現状は全国の大改革の中にあって極めて厳しい状況であり、例えば徳大外科の関連病院群の中の外科医の人手不足数年後には極めて深刻な状況を迎えることは自明の理であります。この状況を打破するためには、私たちが旧態依然とした小さな講座にこだわることなく、一致団結して(以和為貴)魅力ある徳島大学外科を作るため知恵を絞り、全体の底上げを行い(切磋琢磨)、近隣あるいは日本各地の大学から競ってこの徳島大学外科に入ってくれるような組織を作ることが必須であります。この実現のためには、これまでの外科を改善すると言うような小手先のやり方とは違い、旧体制・組織から脱皮し新たに組織を構築することであり外科の改革が必要です。

 私は、赴任後、すぐに旧第一外科の先輩方に、第一外科の同門会(剣泉)を発展的解消していただき今後は同窓会的な組織にしていただくようお願いしました。したがって私自身、昨年できたこの徳島大学外科同門会が唯一の同門会であるように背水の陣にして、現在、徳島大学外科の一層の発展のため努力しています。現在、私自身は学会での名札には、徳島大学外科とだけ記入し、臓器病態外科や消化器・移植外科の名前を書かないようにし、徳島大学外科が大講座制を実践していることを各学会でアピールしています。また、英語表記も、Department of Surgeryで統一(Divisions of Cardiovasular Suregryなどを加えても良いと思いますが)するようにできれば理想的だと考えています。さらに大学の中では若い外科医や医学部生に、死語となった旧講座の名称を使わないように厳しく指導しています。先輩方のからみると私の運営方法が少し荒っぽいと感じられるかもしれませんが、決して感情的や独りよがりで行動している訳でなく、北川教授、丹黒教授と十分相談し、緻密な計画のもとで徳島大学外科が近い将来“勝ち組”として生き残り発展するために行動していますのでご理解と今後ともご協力をお願いいたします。

 早くから大講座制を取り入れた新潟大学では、「Untereinem Dach(1つ屋根の下に)」という理想のもとに各講座が緊密さを失わず、かつその守備範囲(対象疾患)は重複しないようにという方針から大講座の医員は10の研究室でお互いに机を並べており,気軽に研究室で相談できる体制にあります.また,研修面でも臨床面でも協力体制が整っており,新年会,医局スキー旅行,新人歓迎会,運動会,医局旅行,海開きや忘年会などの医局行事は3講座いっしょになって和気藹々と行われています.近い将来、徳島大学外科もこのようなスタイルで、若い外科医が元気で輝き、その姿に医学部生や初期研修医が触発され外科の道を選択してくれることを期待しています。